レポート
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「UD公園のヒント・国内編No.01」
長いすべり台と長ーいスロープ
〜岡山市「浦安総合公園」〜


 長いすべり台はまるでジェットコースター。子どもにとって、とても魅力的な遊具です。ただしすべり台が長くなると、その出発点はおのずと高い場所になります。そこへ車いすやベビーカーでも到達できるようにするには、長ーいスロープが必要となります。
写真:大きな木製複合遊具
 芝生の小高い丘の頂上にある巨大な船に見立てた木製複合遊具。この公園のシンボル的な存在で、丘の下から見上げても迫力があります。2本のローラーすべり台(手前は長く、中央奥はそれより少し短い)と、1本の長いスロープ(左)が付いています。この3本の曲線は、船を取り巻く波のうねりのようにも見え、子どもの想像力をかきたてます。
写真:複合遊具のスロープ
 こちらがスロープ。すべり台より長いです。じつはカーブしているスロープを車いすで上ったり下りたりすることは、直線の坂道を行くよりも難しいものです。上りの場合は力を込めてこぎながら(下りの場合は出すぎるスピードを調整しながら)、同時に方向もコントロールする必要があるからです。
写真:スロープ途中の踊り場
 ゆったりした幅と緩やかな傾斜。片側には2段手すりがあり(両側にあれば上りでも下りでも利き手が使えます。)、スロープの途中には2箇所に踊り場があります。少し広くなっているので、上りで疲れた時にはここでひと休みできますし、車いすやベビーカー同士でも無理なくすれ違うことができます。もしこの壁に、絵合わせパズルや音を鳴らして遊べるプレイパネルなどがついていれば、すべり台以外の楽しみもでき、スロープがただの通路ではなく遊具としての機能を併せ持つことができます。
写真:滑り台の出発地点
 少し短い方のすべり台の出発地点です。デッキにはある程度のスペースがあるので、子どもが車いすから降りる間も、通路を完全にふさいでしまうことはありません。ただ、車いすの座面からデッキの床までは約40センチの高さがあり、脚に力が入りにくい子どもはドスンとしりもちをついて降りることもあります。もしすべり台の出発地点の床が一段高くなっていれば移乗が楽になります。またそのデッキの適切な位置に縦のつかまりバーがあれば、車いすから移乗する子どもにとっても、デッキに上がるほかの子どもにとっても便利な手掛かりになるでしょう 。
写真:長いローラー滑り台
 すべり台の醍醐味は、高いところから一気に下りていくスピード感。その面白さに多くの子どもが「もう一回!」とすぐさま出発点へと駆け出します。しかし車いす利用の子どもの場合、だれかが空いた車いすを押して出発地点から長いスロープを下り、すべり台の終点へ届ける必要があります。そのため子どもは車いすが到着するまでの間、終点で待つことになります。

 独自の工夫で、車いすの子どもにも長いすべり台をすべる楽しさを提供しているこの遊具は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。すべり台が長くなると子どもの楽しみは大きくなりますが、それと引き換えに新たな課題も出てくるのです。
 より簡単に空の車いすを運べるショートカットのコースはできないか。
 すべり終えた子どもが、後ろで順番を待っている友だちのためにスムーズに場所を空け、安全に車いすの到着を待つことができる待避スペースはどうすればよいのか。
 長いスロープを最後まで上りきることができなかった子どもや、上ってはみたもののすべり台をすべる決心がつかなかった子どもたちに、どのような遊びの選択肢を用意できるか。

 さらに、車いす利用の子どもだけでなく多様な子どもや親たちへの配慮、遊具を簡単にするのではなく子どもたちに多彩なチャレンジの幅を提供する工夫、あらゆる子どもがアクセスできることから生じる新たな危険の回避・・・。予算や技術的な制約などと照らし合わせながらも、これらを一つ一つ解決していくことがUD公園に近づく過程です。

最後になりましたが、課題を提示する一方で、この公園は確かな成果を生んでいます。
じつは大きな複合遊具の中で、車いすの子どもが遊べるのは、おもにこのすべり台1本です。ほかの子どもたちは、より高い塔へ上ったり、そこから長い方のすべり台をすべったり、ネットやロープを使った遊びを楽しんでいます。
 それでも車いすの子どもとともに繰り返しここを訪れる家族たちがいます。
 「たった一つだけど、ここには遊べる遊具があるから」。
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