
「UD公園のヒント・海外編No.08」
地味?だけど重要! 地面や床
〜アメリカ・バウンドレス プレイグラウンドより〜
地味?だけど重要! 地面や床
〜アメリカ・バウンドレス プレイグラウンドより〜
もし滑り台で遊ばず、ブランコにも乗らず、ベンチにさえ座らなかったとしても、公園に行った誰もが必ず利用する場所があります。
そう、地面です。
空中をスイッと移動できる鳥でもない限り、よちよち歩きの子どもから杖をついたお年寄り、ベビーカーに乗った赤ちゃんや車いすをこぐ大人も、みんなが地面のユーザーです。
そのため私たちのインタビューでも、地面に対する気づきや要望を挙げる方は多く、「段差があって車いすでは通れない!」といったアクセスの問題はもちろん、「つまずきそうになる」「滑りやすい」「ガタガタという振動が不快」・・・など、いろいろな声が寄せられます。
地面や床は公園の主役ではないけれど、公園を快適にするための鍵を握っているのかもしれません。そこで今回は、バウンドレス プレイグラウンドの地面や床の工夫を探してみたいと思います。
まず遊び場に一歩踏み入れた瞬間に、びっくり!
これはタイヤなどを細かく刻んだ再生ゴムチップを固めて作られたゴム舗装です。着色も可能なので、地面に数字やアルファベットを表したり、遊びを誘発する模様が描かれたりしていました(右の写真)。
遊び場をこのゴム舗装にすると、大きく2つのメリットがあります。
1つは、車いすなどがアクセスしやすくなること。
でこぼこでスムーズに走れない地面、砂や砂利に車輪が埋もれて身動きが取れなくなる地面、雨上がりのぬかるんだ地面・・・どれも車いすや歩行器を使う子どもにとって厄介な難所です。こうしたトラップが無く、他の子どもたちと一緒になって自由に走り回れる地面は、それ自体が大きな価値を持ちます。
さらに、ちょっぴり視点を変えてみましょう。次の写真をご覧下さい。

ゴム舗装の地面は車いす利用者だけでなく、こうしたわずかな晴れ間でも外で遊びたい子どもたちのアクセスも可能にしているようです。
さて、遊び場の地面をゴム舗装にする2つ目のメリットは、高所からの転落や落下による衝撃を和らげ、重大な事故を減らせることです。
「固い土の地面」が長年の定番だった日本の公園でも、近年滑り台やブランコの下、また複合遊具の周囲などにゴム舗装が使われるケースが増えつつあります。(ただし、「衝撃緩和の安全対策」というよりも、「地面が徐々に削れて水溜りになるのを防ぐ」という目的の場合もあるようです。)

ところで、一口に「ゴム舗装」といってもその厚さや形などによって、効果は様々です。
薄いと衝撃吸収性は低く、年数を経るとゴム舗装が地面から浮いて剥がれやすくなります。またゴムチップを地面全体に流し込む舗装ではなく、既成の四角い小型パネルを並べて敷設するタイプでは、最初は地面と水平になるよう高さ(レベル)を合わせて設置しても、やがて周囲の土が流れてパネルが突出したり(左の写真)、各パネルの縁が反り返って表面がでこぼこになったり(右の写真)する場合もあるようです。
これはNPOシェーンズ インスピレーションの方の言葉です。 「ゴム舗装は他の表面材と比べるとちょっと割高。けれど、ここでケチっちゃいけないんだ。もし品質を落とすと効果は薄いし、短い期間で張替えが必要になり、かえって高くつくことにもなるからね。」
また、いくらゴム舗装でも表面が土や砂で覆われてしまっては、高い衝撃吸収性を保つことができません。そこでシェーンズの公園では月に一度、「パワーウォッシュ」(長いホースの先についたノズルから勢いよく水を吹き付ける高圧洗浄)がされていました。
こちらは、遊び場の一角を囲って行なわれていたその作業の様子です。

作業員さんが地面に水を吹き付けるとゴムチップのすき間に入り込んでいた砂が浮き上がって、ノズルの先には砂の黒いラインができます。洗浄の済んだ部分にはきれいな舗装面が現れて違いがくっきり。いわば水の箒で砂をかき出しながら、少しずつ掃き集めていくような作業です。念の入ったメンテナンスですね。
もし、こうした維持管理が難しい公園の場合は、せめて転落や落下の可能性がある遊具の真下や周辺(安全領域)のゴム舗装が、すぐに土や砂で覆われることを防ぐようなデザインの工夫(ゴム舗装の範囲を広めに取る、ゴム舗装の周囲は土以外の表面材を使う、砂場は離れた場所に設けるなど)が必要なのかもしれません。
さて、このように「アクセスのしやすさ」と「安全性」に優れたゴム舗装ですが、遊び場の地面に使われている素材はこれだけではありません。

遊具のある遊び場は茶色のゴム舗装、ピクニックテーブルのある部分は緑の芝生、それらの間にある通路は白いコンクリート、草木や花の間にベンチが置かれたエリアは赤茶色のウッドチップ。
通路は、他のエリアに比べて明るくコントラストがはっきりしているので、弱視の人にも分かりやすくなっています。また、場所によって地面の素材が違うと、全盲の人が足の感触で通路やエリアの区別を認識するのにも役立ちます。
一方、車いすの場合、芝生やウッドチップの上はややこぎにくいものです。しかし移動のしやすさをあまり問わないエリアには、こうした自然素材が用いられていました。全てのエリアをゴム舗装にするのではなく、各素材の特徴を生かしてうまく組み合わせることで、公園に変化が生まれ、豊かな環境が提供されているのですね。
さらに、エリアの境界線にも工夫がありました。
まず、素材の異なるエリアでもレベルは同じであること。先ほどの写真の4種類の地面の境界には、段差がありません。車いす、歩行器、ベビーカーで別のエリアに移る際も、境界線でガタンと落ち込んだり、乗り越えねばならなかったりすることがないのです。

最後に、複合遊具の「床」の工夫をご紹介しましょう。

さて今回は、鳥以外の誰もが利用する「地面」や「床」の工夫を見てきました。 おっと、失礼! どうやら鳥も利用者だったようです。

大人はなかなか気づきませんが、視線の低い子どもは地面に残された小さな友達の足跡をすぐに見つけて追いかけます。
小鳥の足跡は、ブランコエリアへと続いています――




