コラムNo.05 バリアフリー新法と公園

 2006年12月に、いわゆる「バリアフリー新法」※1)が施行されました。
 正式には「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」という名前です。

 それまでは、「ハートビル法」(1994年)で建築物を、「交通バリアフリー法」(2000年)で公共交通機関等をと、まちのバリアフリー化は個別の枠組みで取り組まれてきたのですが、「バリアフリー新法」ではこれらを一本化した上、新たな施設が整備対象に加わりました。そのひとつが都市公園です。これにより、新設または改良される都市公園には「移動等円滑化基準」※1)への適合が義務付けられ、また既存の都市公園には基準適合の努力義務が課せられることになりました。

 法律でバリアフリー化を図るべき特定公園施設に定められたのは、以下の12の施設です。
1「園路及び広場」、2「屋根付広場」、3「休憩所」、4「野外劇場」 、5「野外音楽堂」、6「駐車場」、7「便所」、8「水飲場」 、9「手洗場」 、10「管理事務所」、11「掲示板」、12「標識」
 これらの施設をどう改善すれば、多様な人が利用しやすくなるのか。今年(2008年)、国土交通省が策定した「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」には、施設ごとに「幅○cm以上」「勾配○%以下」といった具体的で詳細な整備指針が記されています。

 こうした各施設の改善以外に、もうひとつの義務があります。公園の出入口と、バリアフリー化された特定公園施設、そしてその公園の「主要な施設」が、アクセス可能な園路でつながっていなければなりません。これにより、「多目的トイレはあるけれど、その手前に大きな段差が!」といったちぐはぐな事態は避けられ、点と点がきちんとした線で結ばれることになります。(ちなみに、何を「主要な施設」とするかは各公園の管理者等によって決められるそうです)

 ところで、子どもの遊び場はどうなるのでしょうか?
特定公園施設の1「広場」とは、走り回ったりちょっとしたボール遊びをしたりできるような、何もないスペースを指します。つまり法律は、多様な人が「あの」広場へアクセスできるよう保障しているのですが、ブランコや滑り台、砂場といった遊具のある場所へのアクセスはこれに含まれません。

 では、そうした遊び場の改善は図られないのでしょうか?
ブランコなどの遊具は「遊戯施設」に分類されます。各公園がこの遊戯施設を「主要な施設」と定めた場合、ここへのアクセス義務が生じます。しかしアクセスできても利用できないのでは、やはりちぐはぐな状態ですね。先頃発行された、都市公園整備ガイドラインの解説書「みんなのための公園づくり」※2)では、ユニバーサルデザイン(UD)の考えに基づく遊戯施設の配慮事項や整備事例がいくつか紹介されています。

 バリアフリー新法の施行で始まった、誰もが利用しやすい公園へ向けた全国的な動き。遊び場のUD化に対する関心も、これから少しずつ高まっていくことが予想(期待)されます。

※1)「バリアフリー新法」、「都市公園移動等円滑化基準」は、以下のホームページでご覧になれます。
国土交通省「バリアフリー・ユニバーサルデザイン」
※2)「ユニバーサルデザインによるみんなのための公園づくりー都市公園の移動等円滑化整備ガイドラインの解説」、2008年監修/国土交通省都市・地域整備局公園緑地課、発行/社団法人日本公園緑地協会