コンセプト

みーんなの公園プロジェクトでは、障害の有無などにかかわらずすべての子どもが、自分の力を生き生きと発揮し、さまざまな友達と共に遊び学べる公園の普及をめざしています。
ここでは、ユニバーサルデザインによるインクルーシブな遊び場づくりの意義やポイントをご紹介します。

目次

はじめに Introduction

遊びは子どもにとって不可欠なものです。
自由で豊かな遊びを通して子どもはさまざまな力を伸ばし、自分を取り巻く世界について学び、人や社会とのつながりを築いていきます。

子どもたちの身近にある公園の遊び場は、彼らを可能性に満ちた広い世界へ招待してくれる“扉”です。

しかしその“扉”は、すべての子どもに開かれているわけではありません。

障害のある子どもたちは、従来型の公園が抱える物理的・社会的障壁によって、成長や発達の支えとなる貴重な遊びの機会を逸してきました。
それは同時に、障害のない子どもをはじめすべての子どもたちから、多様な仲間と出会い、育ち会う機会を取り上げることでもありました。

今、ユニバーサルデザインによる遊び場づくりが求められています。

障害の有無を問わずあらゆる子どもが自らの力を生き生きと発揮して共に遊び学べる場所、そして親を含む地域のさまざまな大人たちが子どもの成長を見守り支え合える場所を築くことは、すべての人が参加するインクルーシブな社会づくりの道へと繋がっています。

みーんなの公園プロジェクトは、インクルーシブな遊び場の実現で“扉”を開こうとする皆さんの情報サイトです。

遊び場のユニバーサルデザイン5原則 Five Principles

遊び場にユニバーサルデザインを取り入れる目的は、障害のある子どもたちに向けた特別な場所をあつらえるためではありません。

これまで周縁に置かれがちだった多様な子どもや家族を本来のユーザーとして迎え入れることで、地域のあらゆる人がより楽しく利用できるインクルーシブな遊び環境を築くことです。

「みーんなの公園プロジェクト」がめざす遊び場の姿と、それを支えるユニバーサルデザインの原則は次の通りです。

インクルーシブな遊び場とは障害の有無などを問わずあらゆる子どもが自分の力を生き生きと発揮しながらさまざまな友達と共に遊び学べる場所

遊び場の
ユニバーサルデザイン
5原則

アクセシビリティ

誰もが公平にアクセスでき、最大限に自立して遊びに参加できるよう、物理的環境を整える。

選択肢

誰もが自分の好きな遊びを見つけ、さまざまな力を伸ばせるよう、多彩な遊び要素とチャレンジの機会を提供する。

インクルージョン

誰もが対等に遊びに参加し関わることで相互理解が深まるよう、インクルーシブな環境をつくる。

安心・安全

誰もが重大な危険にさらされることなくのびのびと遊べるよう、細やかな配慮と工夫を凝らす。

楽しさ!

誰もがワクワクしながら自らの世界を大きく広げられるよう、遊びの価値の高い環境をめざす。

こうした理念と原則をもとに、柔軟な発想で創意工夫を凝らし、継続的な改善を図っていくことが、子どもたちの遊び環境全体の質の向上にも繋がります。

さまざまな人と共に “FOR”→“WITH”

「今までは、きょうだいや友達が遊ぶのをただ見てるだけだったけど、ここならやりたいことが何でもできるよ!みんなと一緒にね。ここは、僕が僕でいられる初めての公園なんだ」

海外で、子どもたちの人生に価値ある変化をもたらしているインクルーシブな遊び場。
その姿は決して一様ではなく、多彩な遊具が体験できたり、自然が活かされていたり、地元の歴史や文化が反映されていたりとバラエティに富んでいます。

ただ多くの公園に共通しているのは、そこがさまざまな人の協働による産物だということ。
障害のある子どもや親たちが切実なニーズを訴えたことがきっかけだったり、計画段階で自治体や設計士と公園の利用者たちが何度も話し合ってアイデアを練ったり、公園整備のために住民や企業、団体が資金や技術を提供して賛同者の輪を広げたり、完成後はNPOやボランティアが遊び場の運営や維持管理に貢献したり――

こうしてインクルーシブな公園づくりにさまざまな人が参加することで、遊び場は充実度を増し、地域住民に理解が広がり、公園は人々の誇りとして大いに活用されます。
また噂を聞いて遠方から訪れた人々が抱く「楽しかった!」「私たちの町にもこんな公園を!」という思いは、新たな公園づくりのきっかけとなり、やがて社会が変わり始めます。

いよいよ日本でも広がり始めたインクルーシブな遊び場づくり。
単に先行事例をコピーしたり、公園をつくる側の人たちだけで話し合ったりしていては、本当の意味で地域に根差した価値ある遊び場の実現は困難です。

ユニバーサルデザインによる遊び場づくりは、「一部の専門家が障害のある子どもの“ために/FOR”つくる」という一方通行の手法ではなく、「地域のさまざまな人が参加し“ともに/WITH”つくる」というプロセスが成功の鍵を握っています。

社会の誰も置き去りにしないみーんなの遊び場づくり――
その実践者は子どもから大人まで、立場も経験も考え方も多様な私たち自身です。