No.01<北川裕梨さんの思い>

私には現在、9歳の息子と6歳の娘がいます。
娘は先天性の遺伝子異常で立つこと歩くことができません。しかし「保育園のお友達やお兄ちゃんと同じことをしたい!」という気持ちがとても強く、いろいろと刺激を受けて成長を見せてくれました。

その「同じことをしたい」という気持ちが嬉しい反面、公園にある遊具では体の不自由な娘が遊べるものはなく、「遊びたい!」という娘の気持ちに応えてあげることができないため、公園はハードルが高い場所にはなりました。

子ども=公園、が娘の場合は叶わなかったのです。

写真:下肢装具を付けた笑顔の女の子。花壇に腰掛け、お兄ちゃんと並んでピースサイン
写真提供:北川裕梨さん

そんな時、東京に障害児も遊べる、ユニバーサルデザインの遊具が設置された公園ができると知りました。ネットで調べると、世界にはこういう公園が当たり前のようにあると知り、感動しました。

「こんな公園があれば娘は絶対に喜ぶ!
地元にもぜひ作ってほしい!」
と、その気持ちを手紙に書き、みーんなの公園プロジェクトさんの『すべての子どもに遊びを』に掲載されていたユニバーサルデザイン遊具の写真をコピーし、知人伝いで市長に渡していただきました。

私は市長とは面識はありませんでした。
ただ、「娘もみんなと同じように公園で遊ばせてあげたい、障害があるからと諦めないでもいい町になってほしい」
との思いを綴ったと記憶しています。

それから半年後、地元の公園にユニバーサルデザイン遊具が設置されることがわかりました。
たった一人の市民の声に耳を傾けてくださり、こんなに早く実現していただけるなんて…ととても驚きました。

実際に設置された遊具は、寝転んで揺れを楽しむハンモック型の遊具です。
娘もゴロンと横になって揺れを楽しみ、私もハンモックを手で揺らすだけでいいので体に負担もかからず、とてものんびりとした幸せな時間を過ごせました。

娘が遊んでいると、健常児の子も遊びに来ました。
こうやって、障害がある無しに関わらず一緒に遊べるっていいなと思いました。

最近、クラウドファンディングで、2つ目のユニバーサルデザイン遊具が設置されると知りました。
次の遊具は、車椅子ごと乗れるそう、今からとても楽しみにしています。

ユニバーサルデザイン遊具を知り、「こんな遊具がほしい!」という気持ちを行動に移して、その思いを形にしてくださるとは、当初は夢にも思っていませんでした。

なので、声にする事って大事なんだなと実感しました。