コラムNo.18 究極の遊具?

 先日、小中高等部のみんなと乗馬を体験する機会がありました。健康の森学園のすぐ近くに乗馬クラブがあり、そこから大きな馬が2頭、トラックに乗ってやってきました。天候が悪く雪模様の一日でしたが、みんな笑顔で楽しむことができました。

 私が以前勤務していた23年前、とある施設に内地留学した際に乗馬療法に出会いました。乗馬はもちろんのこと、動物園でもあまり見た記憶のない私にとって、馬の存在感、インパクトは強烈なものでした。その施設も初めての取り組みということで、期待感いっぱいの中でのスタートでした。そこで私も馬に乗せていただくことができ、そのときの爽快感、揺れの心地よさ、大きなものに身をゆだねる安心感は今でも忘れられません。療法としての良さよりもその心地よさを子どもたちに味わわせたくて、岡山に帰ってから乗馬について調べ始めました。そこで、学園から車で5分のところに乗馬クラブがあることに初めて気がつきました。(失礼な話ですが)

 さっそく乗馬クラブに連絡をして私のまったく整理されていない思い(今から思えば乗馬療法のこともほとんど知らず勢いだけでしたが)を伝えたところ、それはいいことだと全面的に協力してくださるとの信じられないようなお返事をいただきました。以来23年間、校外学習や学園内での乗馬体験等に協力していただき今に至っています。

 子どもたちはまず馬をなでながら「よろしくお願いします!」とあいさつをして馬にまたがります。身長によってはよじ登るといったほうがよい子もいますが、馬はじっと待ってくれています。乗っているときの子どもたちの誇らしい表情と楽しそうな笑顔。片手を離してみんなに手を振る余裕。最初は怖がっていても数分の間に不安な表情が一転、最高の笑顔に変わっていく子もいます。降りるときも「ありがとう!」となでながら声をかけて名残惜しそうに離れて行く子、ずっと馬をなででいる子。次の子どもたちは期待感いっぱいでヘルメットをかぶって待っています。

 馬の温かさ、馬とのコミュニケーション、心地よい揺れと高い位置から見る景色の変化や爽快感等色々な内容がこの活動の中には入っています。1回目、2回目と回数を重ねるごとに見える景色や感じる揺れ、馬とのコミュニケーションのとり方がどんどん変化していきます。遊具といっては馬さんに失礼ですが、まさに究極の遊具と呼べるのではないでしょうか?

 私たちが本当に子どもたちに体験させたいこと、感じてもらいたいこと、公園に求めているもののヒントがここにはたくさん含まれているように思います。公園という場所や遊具、集まっている人々、様々なものを媒体として楽しい経験や冒険をしてほしい。その中から期待感や達成感、充実感を感じてほしいと思っています。

 新しい年度になりました。私も子どもたちにさらなるどきどきやわくわくを感じてもらうためにがんばりたいと思います。