聴覚障害のある子どもたちと公園

聴覚障害児のお母さん、聴覚障害者、聾学校の先生たちの声

<わかりやすい方法で情報提供を!>

★子どもたちが理解しやすい表示板に!
○障害のため、言葉の習得に時間がかかる子どもがいる。あるいは、聞こえないことからくる情報不足を視覚で補うために、幼いうちから平仮名は習得している子どももいる。
公園の注意事項の表示は、「自転車乗り入れ禁止」などではなく、平易な文章にして読み仮名を付けたり、絵による表示を併記してあると、いろいろな子どもにとってわかりやすい。

○注意事項などの看板は、子どもの目の高さに設置してほしい。

○子どもたちが遊び、学ぶ場所には、「あれもだめ、これもだめ」という禁止事項がなるべく少ない方がよい。禁止の表示は危険度の高いケースのみに絞り、他は必要に応じて「こうしようね」といった肯定的なサインやマークを使ってはどうか。

★園内放送は聞こえない!
○大きな公園で園内放送が流れてもわからない。教えてくれる同行者がいれば別だが、そうでなければ緊急避難放送などに対応できず取り残されてしまう怖さがある。音声だけでなく、視覚による情報提供の手段がほしい。

<地面や床の材質に配慮を!>

○ある聾学校の遊具広場は地面が一面、天然芝になっている。これは、子どもが転んだり遊具から落下したりした時の衝撃を和らげるだけでなく、遊んでいる時、補聴器に入ってしまう雑音を吸収することにも役立っている。砂が乗ったコンクリートや鉄板の上を歩く時のジャリジャリという音などは、子どもの聞こえの妨げになりやすい。
地面や遊具の床を工夫すると、より快適な遊び場になるだろう。

<見通しのよさを!>

★子どもの立場から
○子どもは、周囲をよく見回すことで多くの情報をキャッチしている。一緒に遊ぶ友だちの居場所に気付いたり、離れた場所でも手話でコミュニケーションをとったりするには、見通しのよさは大切。

○背後や見えない場所からの人や物の接近に気付けないため、後ろから走ってくる他の子どもや、大きくこいでいるブランコなどにぶつかることがある。またらせん状やトンネル状の滑り台では、上から他の子どもが下りてくることに気付きにくい。子どもが自分で周りの状況を把握しやすいような遊具の配置や、デザインを!

★親の立場から
○見通しの悪い場所で子どもを見失うと、探すのが大変。(スーパーでの買い物中などにも起こるのだが、名前を呼んで声で居場所を確かめることができないので、とにかく姿を見つけるまで探し回ることになる。) ちょっとした隙に事件や事故に巻き込まれる可能性もあり、不安。見通しのよい公園に!

○子どもが遊具の上などの離れた場所にいると、地上で親が危険を察知しても知らせることができない。小さい子どもには親が一緒について行けるゆとりのスペースを持った遊具を。また親が安心して見守り、必要な時にコミュニケーションが取れるよう、遊具の上からも地上からも十分な視界を確保してほしい。

(それぞれのご意見を下さった皆様、ありがとうございます)

イラスト:リンゴの木や花に囲まれた公園。中央には家の形の遊び場が建ち、手すり付きの階段やスロープもある。車いすに乗る子どもだけでなく、松葉杖をついたり腕に包帯を巻いた子どもの姿も
イラスト:「みんなの公園」